2.酔っ払いの戯言?

8/14

51人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「そうなんです。郡司は本当に熱心な看護師でして…これからも上を目指していける人材になっていくと思います」 「じゃあ…。そんな郡司さんに乾杯だな」 池松先生は楽しそうに言うと、郡司にお猪口どころか、升に日本酒を並々と注ぎ「日本ぽいだろ?」と笑いながら郡司にそれを勧めた。 「あぁ…」 郡司もこればかりはヤバいと思ったのか、苦笑いでこの場から逃げ出したいオーラを出している。 「持って持って!」 池松先生に煽られた郡司は「それじゃあ…」と笑みを浮かべながら升を口に近付けた。 その時。 ゆうりは郡司から升を奪い取ると、升に口を付け、恐ろしい速さでそれを吸い込んだ。 ダメだ。 絶対に郡司さんにこれを飲ませちゃダメだ。 また帰れなくなる。 「…っあー!」 ゆうりは「こんな高級なお酒飲んだの初めてです」と大声で言った。 「めっちゃ美味しいですねー!もっと飲んでもいいですか?」 ゆうりがそう言うと、周りは一瞬キョトン…としたが「花村おもしろーい!」となって、ゆうりに「どれ飲む?」とたくさん勧めてくれた。 「すごい勢いだな〜!ここでしか飲めないお酒もあるから、好きなの飲んでよ」 池松先生は、ホラホラとゆうりにメニューを差し出した。 ゆうりは「えー…じゃあ、これにします」と難しい名前の芋焼酎を頼んだ。 こういう系のお酒は苦手なくせに。 でももう、後戻りはできない…。 多少辛くなりそうだけど、おかげで郡司が勧められる可能性が減ったので、それならいいかとゆうりは思った。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加