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「そうなんです。郡司は本当に熱心な看護師でして…これからも上を目指していける人材になっていくと思います」
「じゃあ…。そんな郡司さんに乾杯だな」
池松先生は楽しそうに言うと、郡司にお猪口どころか、升に日本酒を並々と注ぎ「日本ぽいだろ?」と笑いながら郡司にそれを勧めた。
「あぁ…」
郡司もこればかりはヤバいと思ったのか、苦笑いでこの場から逃げ出したいオーラを出している。
「持って持って!」
池松先生に煽られた郡司は「それじゃあ…」と笑みを浮かべながら升を口に近付けた。
その時。
ゆうりは郡司から升を奪い取ると、升に口を付け、恐ろしい速さでそれを吸い込んだ。
ダメだ。
絶対に郡司さんにこれを飲ませちゃダメだ。
また帰れなくなる。
「…っあー!」
ゆうりは「こんな高級なお酒飲んだの初めてです」と大声で言った。
「めっちゃ美味しいですねー!もっと飲んでもいいですか?」
ゆうりがそう言うと、周りは一瞬キョトン…としたが「花村おもしろーい!」となって、ゆうりに「どれ飲む?」とたくさん勧めてくれた。
「すごい勢いだな〜!ここでしか飲めないお酒もあるから、好きなの飲んでよ」
池松先生は、ホラホラとゆうりにメニューを差し出した。
ゆうりは「えー…じゃあ、これにします」と難しい名前の芋焼酎を頼んだ。
こういう系のお酒は苦手なくせに。
でももう、後戻りはできない…。
多少辛くなりそうだけど、おかげで郡司が勧められる可能性が減ったので、それならいいかとゆうりは思った。
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