2.酔っ払いの戯言?

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「ねー、花村」 ほろ酔いの郡司の声は、控えめに言ってもすごく可愛い。 普段からわりと可愛らしい声なのだが、それよりもっと甘えたような声になる。 それによく喋るし、言葉もマイルドになる。 「家、目星つけてるとこあるの?」 「調べる暇なんて無いですよ。それ発覚したの今日のお昼ですよ?物件探しとか無理すぎます。…今度夜勤明けで行こうかな」 ゆうりは「ていうか」と、ため息をついた。 「本当はあんまり家賃にお金かけたくないんですよね。だから寮に入ってたわけで…」 「そうなんだ。家も何かとお金かかるしね」 「わたし、弟がいるんですけど…来年大学生になるんですけど。それで、弟の学費の足しにしてほしくて、給料を少し実家に振り込んでるんです」 ゆうりはそこまで言うと「あ」と口に手を当てた。 酔っ払っていると、余計なことを話してしまうからダメだ…。 「実家…大変なの?」 「あ…えっと…小さい頃にお父さん死んじゃってて。お母さんがずっと頑張って働いてくれてるんです。わたしももう社会人だし、家のこと支える立場にならないとって…あはは、どうでもいいですねー、こんな話」 「そっか…」 郡司は少し黙った後「ねぇ花村…」と、トロンとした目でゆうりを見つめた。 「うち住む?って言ったら、来る?」 「え」 あの汚部屋が一気に蘇る。 なんの冗談か分からなくて、ゆうりは「住むってあの部屋に…ですか?」と率直に言ってしまった。
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