2.酔っ払いの戯言?

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「片付ける…」 「…覚えてるんですか、あの日のこと」 「うっすら…」 じゃあ…一緒にベッドに横になったことも? 『帰らないで』と甘えてきたことも? お礼の一言もなかったのは、気まずかったからなの…? 思わず口からポロッとそのことが漏れそうになり、ゆうりは慌てて言葉を飲み込んだ。 さすがに…聞けない。 気まずすぎる。 「うち来てくれてたなら分かるでしょ、あのヤバさ」 「郡司さん、お片付け苦手なんですか?」 少し間を置いてコクンと頷く郡司。 こんな完璧な人にも苦手なことってあるんだな、と思い、郡司も人間なのだなと少し安心する。 「誰にも言わないで…」 「言いませんよ」 ゆうりは「…本当に、いいんですか?」とまた聞いた。 「なんか、お昼に八神主任に言われた時、パワハラですかとか言ってたじゃないですか」 「そうだけど…」 「さっきの話で同情してくれたとか、そういうのならやめてくださいね。そういうつもりで言ったんじゃないですし。あの…世間話的な感じと思ってください」 ゆうりの言葉に、郡司は鼻から息を漏らした後、綺麗なロングヘアをかき上げた。 「…考えといて」 「はい…」 本気なのだろうか。 また明日には、覚えていないのかな。 酔っ払いの戯言として受け止めた方がいいのかもしれない。 今度の夜勤明けで、不動産屋さんに行かなきゃな、とゆうりは心の中で呟いた。
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