3.秘密

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「それにしてもさぁ、この管おっかないなぁ。取り方知ってる?」 「奥様からも、先生からも、これは白濱さんを守る大事な大事なものと言われているので、このまま大切にしておいてください。どうかお願いします」 「分かりました。ありがとう」 「いいえー。困ったり、分からなくなったら『たすけてー!』って言ってもいいですからね。わたしたち、夜中じゅうずっとここにいるので」 「えぇ!そうなの?大変だね…あ…お饅頭あるから…食べな?」 白濱さんは「美味しいお饅頭があるから…」と枕元をガサゴソと漁り始めた。 「すぐそこにいますから、見付けたら教えてください」 「わかった!」 「安静にしてないといけないので、横になってましょうね。…雑誌読みます?」 「前ねぇ、箱根に行ってねぇ」 「…じゃあ、これなんかピッタリですね」 ゆうりは、床頭台の引き出しから"箱根湯本"と書かれた雑誌を取り出した。 「おぉー懐かしい!」 「行ったことあるんですか?」 「昔妻とよく行ったんだよぉ。また行きたいなぁ…。ねぇ、あっちの茶の間に妻がいるはずなんだけど。おーい!美佐子ー!」 「白濱さん。元気になった時のために、今から行きたいところチェックしておきましょう。奥さん今忙しそうだから、わたしから伝えておきます」 ゆうりがそう言うと、白濱さんは「そう?悪いね」と言ってベッドに横になり、熱心に旅行雑誌に目を通し始めた。
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