3.秘密

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「そう。若くてあまり手もかからない感じっぽいけど。胸部症状あるからちょっと心配」 「点滴挿れるなら、わたし行ってきましょうか?」 「え、余裕あんの?」 「とりあえず夕食前にすることは終わってるんで。今、インスリンとかもないですし」 「あー…」 郡司は少し考えた後「広山と仁藤が残ってること無ければ点滴お願い」と言った。 「はい」 広山は1年目の中でもわりと出来のいい子だ。 この数ヶ月間要領よくやって来ていたようだが、最近は上手くすり抜けてきてきたツケが回ってきて、色々とやらかしている。 こういうタイプが一番危ないんだよなぁ…とゆうりはいつも思っていた。 「あっ!」 「なに」 「田中さんの血糖測定忘れてました」 ゆうりは「田中さんの血糖測ったら2人に声掛けてきます!」と言って、ガラガラとカートを引きながら14号室に向かった。 こういう小さなミスや見落としが目立つ自分はまだまだだな、とゆうりは1人で反省した。 田中さんの血糖値は102。 スケールに引っ掛かっていないのでオッケーだ。 今度はバタバタと走りながら広山と仁藤を探しに、担当の部屋がある方向に向かう。 夜勤は人数が少ないので、チームワークが大事だ。 余裕のある人がフォローしなければ。 10号室辺りに行くと、仁藤の声が聞こえてきた。 カーテンを閉めて病室から出てくる仁藤に「手伝えることありますか」と問う。 「あー。あと中野さんの血糖測るだけだから大丈夫。サンキュー」 「了解です」 ゆうりはニコリと笑った後、小走りで1号室の方へ向かった。 2号室や個室からは広山の声が聞こえなかったので、おそらく1号室に居るはずだ。
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