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あの頃、郡司の笑顔は見たことがなかった。
それに比べたら、自分はプリセプティーである園田にはたくさん笑顔を見せていると思う。
笑顔というか、ヘラヘラしてるだけかもしれないけど。
郡司がプリセプターだった頃だけではなく、仕事では彼女の笑顔はほとんど見たことがない。
患者さんに向ける笑顔はよく見るけど、スタッフに対してはほぼ無い。
飲み会の時に微笑むくらいだろうか。
郡司のプリセプティーだったことについて後輩からよく問われるが、辛かったとか、辞めたいだとか、そんなことは一切思わなかった。
厳しく言われていたことは確かだし、今思えばパワハラとか言われるものだったのかもしれない。
言い方は冷たいし、褒められたこともないし。
だけど、全てポンコツ過ぎる自分には必要なものだったから、すんなり受け入れられていたし、郡司の知識の凄さと看護感に憧れていた。
今の子は違うのかな。
強く言われたら、やだなって思って考えることをやめちゃうのかな…。
てか、そもそもこの状況で郡司のこと聞いてくるのもどうかと思う。
今の子は宇宙人なのだろうか。
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