3.秘密

14/14

52人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
意外とか失礼だ。 家でもポンコツだと思われているのだろうか。 「で、いつから来るの?」 「えっと…その前に、あの部屋片付けなきゃですよね…?」 「あぁ…」 郡司はおもむろに立ち上がると、ホワイトボードに貼ってあるシフト表を持ってきて、またリーダー席に腰掛けた。 「私、明日また夜勤だから、明後日の明けなら大丈夫。それ以降になると、引越しも考えると休みが…」 ぶつぶつ言いながら自分とゆうりの勤務を交互に見る郡司。 ぐりんと上がった長いまつ毛と大きなアーモンドアイが、チロチロと動く。 話し合った結果、明後日の郡司の夜勤明けの日に片付けをすることに決まった。 「じゃあ明後日、お家行きますね。…あの」 「ん?」 郡司は綺麗な目をこちらに向けた。 「ありがとうございます。本当に、救われました」 ゆうりが頭を下げると郡司は「誰にも言わないでね」と小さな声で言った。 「あ…ハイ。あっ、でも八神主任には言ってもいいんじゃ…」 「ダメ。あの人うるさいから。聞かれたら、家見つかったってテキトーに言っといて」 「分かりました…」 そんなこんなで、新しい寮が完成するまで超絶冷徹な元プリセプターの家に住まわせてもらえるようになったわけだけど…。 気まずさしかない。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加