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意外とか失礼だ。
家でもポンコツだと思われているのだろうか。
「で、いつから来るの?」
「えっと…その前に、あの部屋片付けなきゃですよね…?」
「あぁ…」
郡司はおもむろに立ち上がると、ホワイトボードに貼ってあるシフト表を持ってきて、またリーダー席に腰掛けた。
「私、明日また夜勤だから、明後日の明けなら大丈夫。それ以降になると、引越しも考えると休みが…」
ぶつぶつ言いながら自分とゆうりの勤務を交互に見る郡司。
ぐりんと上がった長いまつ毛と大きなアーモンドアイが、チロチロと動く。
話し合った結果、明後日の郡司の夜勤明けの日に片付けをすることに決まった。
「じゃあ明後日、お家行きますね。…あの」
「ん?」
郡司は綺麗な目をこちらに向けた。
「ありがとうございます。本当に、救われました」
ゆうりが頭を下げると郡司は「誰にも言わないでね」と小さな声で言った。
「あ…ハイ。あっ、でも八神主任には言ってもいいんじゃ…」
「ダメ。あの人うるさいから。聞かれたら、家見つかったってテキトーに言っといて」
「分かりました…」
そんなこんなで、新しい寮が完成するまで超絶冷徹な元プリセプターの家に住まわせてもらえるようになったわけだけど…。
気まずさしかない。
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