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4.真夏の約束とお片付け
そろそろ7月。
今月中に寮から退去しなければならないゆうりは、少しずつ段ボールに荷物を詰め始めていた。
郡司から正式に部屋を使っていいと言われた日、夜勤明けで引越し業者も早々に決め、段ボールを受け取った。
夜勤明けからの2連休で、大分荷物も片付いてきた。
そんな今日は、郡司の家を片付けに行く日だ。
お皿を段ボールに詰め込んだ後、ゆうりは郡司にメッセージを送った。
『今日はよろしくお願いします。これから向かいます』
時刻は14時。
郡司がこの時間を指定してきたのだ。
夜勤明けで、寝ないでそのまま動きたいとのことだった。
5分程して郡司から『了解』とメッセージが届いた。
郡司とメッセージのやり取りをするのは、2年ぶりくらいだ。
ゆうりが先程のメッセージを送ったすぐ上には2年前の会話が残っていた。
業務的なやりとりしか残っていないそれを見て、ゆうりは懐かしさを覚えた。
キツい言葉を言われながらも、郡司が自分のことを考えてくれているのだということを、なんとなく感じていた。
優しくされたことなんてないけど。
あの頃の思い出が、蘇る。
そんな人とこれからルームシェアをするなんて…。
どんな人生だよと思いながら、ゆうりは郡司の家に向かう準備を始めた。
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