1.お世話係

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ゆうりは心の中で大きなため息をついた。 なんで自分がこんなにチクチク言われなければいけないんだ。 これもプリセプターの役目なのか? 郡司が自分のプリセプターだった時、郡司は先輩からこんな風に言われていたのだろうか。 「私、今日15時から委員会あるから。それまでに持ってきて」 郡司は鼻からため息を漏らしてパソコンの方に向き直り、カタカタとタイプしながらゆうりの方を見ずに言った。 「え?明け…ですよね…」 安堵の気持ちより先にその言葉が出てしまった。 通常、委員会のある日は日勤で組まれるはずだ。 「しょうがないじゃん、人足りてないんだから。てか花村が気にすることじゃないし」 郡司がそう言った時、PHSがブーブーと音を立てた。 「はーい、伺います」 そう簡単に言って切った後、ゆうりが「じゃあ、委員会の時間までには必ずお渡しするので…」と言うと、郡司はこちらをチラッと見た。 「患者さんに伺いますって言ったんなら早く行ってよ。話は終わり」 「はい…すみません。よろしくお願いします」 ゆうりは会釈してその場から立ち去った。
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