4.真夏の約束とお片付け

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ーーー。 『千冬もだけど、ゆうりも頑張ってるよね』 「そう?」 『毎月、あんなに入れなくていいよ?』 あんなに、なんて額じゃない。 薬学部ってものすごくお金がかかること、知ってるんだから。 足りないくらいだって、分かってる。 「千冬、アイス好きだよね?」 ゆうりはあまりお金の話はしたくなくて、話を逸らした。 『あはは…そうね。勉強中、アイスしか食べないの。ゆうりから他のものも食べなさいって言って!』 「あはは。じゃあアイス送るね」 『もーっ』 「あと美味しそうだなって思ったの送る」 『無理してない?』 「してないよ。わたしは、お母さんと千冬が元気なのが分かって嬉しい」 ゆうりは「じゃあまたね」と言って通話を切った。 また母が何か言ってきそうな気がしたから。 ゆうりは郡司のマンションに向かいながらスマホを操作して、千冬の好きそうなアイスの詰め合わせを探した。 千冬はバニラとチョコとキャラメルが好きなのだ。 7歳も違ったら子供のように思える弟。 だけど、彼も父の死をあの時同じように感じていた。 なんなら千冬の方が、父の死を色んな意味で受け止めていたのではないだろうか。 昔から、千冬の感性には驚かされていた。 人が考えないような視点で色々なことを考える子だった。 きっと、これから千冬の本当の良さが芽を出すのだろうと、ゆうりは密かに思っていた。
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