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ーーーピンポーン。
「花村でーす」
「はい」
素っ気ない声とともに開かれたオートロック。
キョロキョロしながらエレベーターを探して乗り込み、4階のボタンを押す。
フロアに着いてまたキョロキョロして406号室を探し当てる。
ゆうりは深呼吸した後、インターホンを押した。
数秒して、いつもと変わらない明るめな茶色のロングヘアの郡司がドアを開けてくれた。
廊下にゴミは無く、わりと綺麗な色をしている。
「ちょっと片付けました?」
「軽く…」
さすがに気まずいと思ったのだろうか。
あの廊下、すごかったもんなぁとゆうりは深夜に見た暗い廊下を思い出した。
昼間に見ていたらもっとすごかったかもしれない。
「上がって」
「はい。お邪魔しまーす…」
靴を脱ぎ揃えてからリビングに向かう。
相変わらずの様子で思わず「おー…」と声が漏れてしまった。
明るい時間帯だと、やはりインパクト大だ。
「リビングからやりましょっか」
「分かった。あ、ゴミ袋買ってきたからこれに入れて」
郡司がテーブルに置いてある新品の45Lのゴミ袋を手に取ると、横に置いてあったペットボトルが2本床に落ちた。
「了解です。じゃあわたし明らかにゴミだと思うもの入れてくんで、郡司さんはとりあえず捨てちゃダメなもの隣の部屋に移動させてください」
「分かった」
郡司はそう言ってロングヘアを簡単にまとめ、ベッドが置いてある隣の部屋に向かった。
ゆうりは「よし」と気合いを入れると、ゴミ袋を1枚取り出してキッチンに散乱しているゴミを次々と回収し始めた。
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