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ナースコールの相手は、14号室の大部屋に入院している杉田さんだった。
抗生剤の点滴が終わったと教えてくれたのだが、ルート内は既に真っ赤で血液が逆流していた。
床頭台に掛けられているホワイトボードをチラリと見ると、担当のところに園田と書かれていた。
やらかしてくれてんな…。
ゆうりは杉田さんに謝って点滴を抜針した。
これはもう挿し替えるしかない。
園田にインシデントとして言うべきなのだが、今朝早々に郡司にコテンパンにやられているので言いにくい。
ナースステーションに持ち帰ってチューブを破棄し、新しいものに付け替えていると、日勤リーダーの仁藤新に「どした?」と言われた。
ゆうりが経緯を話すと、仁藤は「えー、インシデントじゃん」と言った。
「ですよね。でも園田、今朝やらかしてて…あんまりこれ以上は…」
「かばいたくなる気持ちも分かるけどさ。でもそれは園田のためじゃないよ?」
「分かってますけど…」
「花村は優しすぎるんだよなー」
仁藤は鼻からため息を漏らした。
「里々佳に育てられたとは思えない。…まぁ今回のは隠してやるけど、園田には花村からちゃんと伝えてよ?」
「ありがとうございます」
「ありがとうってのもどうなんだか…。今回だけだぞ。あ、全然話変わるけど、今日の歓迎会来れるよな?」
「はい。終わり次第向かいます」
仁藤は手をヒラヒラさせて「よろしくー」と言った。
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