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歓迎会が始まったのは19時。
ゆうりはいつものごとく最後まで病棟に残っていたので、会場に到着したのは20時を過ぎた頃だった。
「花村ぁ〜。遅いよ!またなんかやらかしたぁ?」
美人主任、八神薫が、ゆうりの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
八神主任は4A病棟の中では郡司と首位を争うほどの美人だ。
郡司が綺麗系だとしたら、八神はギャル系。
今日も持ち前のハスキーボイスを轟かせながら、お酒を水のように胃に流し込んでいる。
このハイテンション、大分飲んでるな…と思いながら「やらかしてないですー」とゆうりは笑顔で答えた。
看護師は酒豪が多い。
病棟の飲み会はもちろん、ドクターからも誘われることが多く、飲んでばかりだ。
循環器内科の先生たちは優しくてノリが良い人が多いので、飲み会はいつも和気あいあいとしている。
絡みづらい先生ともお酒が入ってしまえばグイグイいけてしまう。
ちなみに心臓血管外科の先生は人数が少ない上にオペ件数も多く多忙なため、飲み会にはなかなか参加しないレアキャラだ。
病棟の飲み会もわりと楽しい。
いつもはピリピリしている病棟責任者や主任、副主任もそういう日は穏やかだ。
そして、病棟で恐れられている6年目の郡司も飲み会だけは普段より少しくだけている。
というのも、郡司はかなりお酒に弱いのだ。
ビール1杯が限界で、すぐ真っ赤になるか具合が眠くなるので、飲むのは大体烏龍茶かジンジャーエール。
元プリセプティーならこれくらいの情報は知っている。
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