夜空が輝く刻

1/4
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

夜空が輝く刻

部屋の窓を開けて見ると、チラホラと雪がチラ付いていた。今年も、そんな季節が訪れていた冬の或る日‥‥‥。 大抵の人間は、『雪』と言えば冷たいイメージを抱くのかも知れない。それでも、このボクには、温かい思い出がある。 ‥‥‥雪の日の思い出。 それは‥‥‥。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 「‥‥‥あ〜ぁ。今日も又、あのラーメン屋に行かなきゃならないのかぁ。」 ‥‥‥イヤだなぁ。 ‥‥‥貧乏って、辛いナァ。。。 田舎の町を捨てて、東京の町の片隅で貧乏生活を余儀無くされていた頃。 その頃のボクは、東京にある高円寺の町の外れにある寂れたラーメン屋でしがないアルバイト生活を繰り返していた。 ‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 そもそも、最初から辛い想いを押し殺して、暮らしていた訳じゃ無かったのにネ。 あれは、そのラーメン屋で深夜の時間に作業をしていた頃。と或る年老いた男の人が、お客として来店し、一杯のラーメンを啜り、やがて、お店から出て行ったかと思うや否や、店の軒先で唐突に足取りが止まり、そのまま呆然と立ち尽くしてしまっていた。 ボクはふと、その男の人の様子が気に掛かり、作業の手を止めて、店の外へと出て行ってから、その男の人に話し掛けた。 「‥‥‥あのぉ〜。どうされました?」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!