第2章 ただ見つめ合っただけでも罪なんですか?

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 先生が私を連れてきたのは、茶道部と書道部だけが使う畳の部屋。  入学してから1度だけ、担任から校内を案内された時に見たことはあったけれど。  扉を開けた瞬間、畳の匂いがすんっと鼻を掠めた。 「座って」 「はあ……」  私は、先生が腰を下ろしたのを確認してから、恐る恐る正座した。  先生は、正座が苦手なのか少し足を崩している。  こんな先生の姿、他の子は見たことあるんだろうか? 「先生って、よくここに来るんですか?」 「そうだな。俺書道部の顧問やってるし」 「…………そう、でしたね…………」  面白くなかった。  私以外に、こんな先生の無防備な姿を見た子がいるなんて。 「それで、こんなところに私を連れてきて、一体何をして欲しいんですか?」  また、声が尖った。  どうして私の声は、心に正直すぎるのだろう。 「そんな難しいことじゃない。ただ、教えて欲しいんだ」  そう言うと、先生はどこに隠し持っていたのかメモ帳とペンを取り出した。 「最近の女子高生は、どういう授業なら面白いと思うんだ?」 「……は?」
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