第2章 ただ見つめ合っただけでも罪なんですか?

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「何がおかしい!」 「何でも……ない……です……っ!!」  笑いをこらえようと思えば思うほど、声が震えてしまう。  「何でもなくないだろうその笑いは!」 「だって……」  別に先生に対して笑ったわけじゃない。  私は私がおかしくて笑っていたのだ。  てっきり、誰か特定の女子高生に興味を持ってもらいたいからと、私は勘繰っていた。  でもいざ蓋を開けると、上からの命令で仕方がなく、というのがありありと伝わってしまった。  それも1番伝えてはいけないであろう、当事者の女子高生の1人である私に。  これを笑わずにいられるだろうか。 「ご、ごめんなさい……!」 「先生を笑った罰として、ちゃんと教えること」 「ば、罰って……」  言葉1つ1つが、可愛くて仕方がない。  こんな先生を知っているのは、私だけであって欲しい。  そしてこんなくだらない祈りが、先生には決して届かないことを祈りながら、自分のためだけに私は先生からの罰を受けた。 「悪女の話はどうでしょう?」
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