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「たかが結婚記念日を忘れたからって、大袈裟だな」
「たかがって……」
ついこの間は「結婚記念日に特別なディナーを用意できない妻に何の価値がある」とぼやいていた夫だというのに、どうしてこうも変わるのか。二枚舌とはこういうことか。
私は、冷えたピザを投げつけてやりたい気持ちを必死で堪えた。
そんな私を嘲笑うかのように、夫はこう言ってきた。
「そんなくだらないことを考えてる暇があれば、子供ができる方法でも考えるんだな」
「何ですって……!?」
この男との間に子供を作る。
それは、私がこの結婚をする上で最も重要なミッションだ。
むしろ、そのためだけに私は22階という中途半端な高さのマンションに閉じ込められているのだ。
「お義父さんから言われているんだろう? 孫を見せてくれないかと」
「でもそれは」
あなたが、私を抱かないから。
そう言おうとしたことに、夫は気づいたのだろう。
「抱いて欲しいなら、それなりの態度を取れよ」
「態度……?」
そう言うと、夫は私の前に立ち、ズボンのチャックをおろした。
「何して……」
「勃たせてみろよ。これを」
つまらなく垂れた夫の汚いものを目の前に突きつけられ、私は咄嗟に目を背けた。
「ほら、子供を授けてくださいって、俺に土下座しろよ!」
夫はそう言うなり、私の頭を掴み、私の口元に自分のものを近づける。
「やめて……!」
「ちっ……!これだからお前は……」
夫は、そのまま私を飽きたおもちゃのように床に転がすと同時に
「お前がそんなんだから、デキるもんもデキねえんだよ。お義父さんに言っとけ。俺たちの間に子供ができないのは、お前が女として最悪だからだってな」
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