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40.永遠の愛を誓った日。(ユーリ視点)
式場について、馬車を降りた頃にはマリーナはいつもの淡々とした表情に戻っていた。
彼女のこの切り替えの早さと、周囲に見られているという意識の高さには感心させられる。
彼女が涙を見せるのは俺の前だけで良い。
そして、俺は未だ一度も見たことのないマリーナの笑顔が見ていみたい。
今日、周囲から祝福されて幸せを感じられたら彼女も少しは笑顔になってくれるだろうか。
彼女の国を滅ぼした張本人である俺に対して、彼女が本当はどう思っているのかは分からない。
それでも、確かに彼女自身も俺を大切にしてくれているのがわかる。
「マリーナ、好きだ。愛してる」
俺は漠然とした不安な気持ちから、彼女からの「好き」を返して欲しくて言った。
「私もユーリが好きです。あなたは私の夢の存在です」
♢♢♢
ルークとイサキにエスコートされながら、ヴァージンロードをマリーナが歩いてくる。
その姿が神々しくて、俺の方が泣きそうになった。
「私、ユーリ・ハゼはあなたの夫となるために自分を捧げます。そして私は今後、あなたが病める時も、健やかな時も貧しい時も、豊かな時も、喜びにあっても、悲しみにあっても、命のある限りあなたを愛し、この誓いの言葉を守って、あなたと共ににあることを約束します」
目の前にいるマリーナの表情はベールに隠れていてよく見えない。
やっと、5年もの間ずっと想い続けた彼女と一緒になれる喜びで胸がいっぱいだ。
でも、今日の彼女はなんだか様子はいつもと違うので俺は少しの不安を取り除けずにいた。
「私、マリーナはあなたの妻となるためにあなたに自分を捧げます。そして私は今後、あなたが病める時も、健やかな時も、貧しい時も、豊かな時も、喜びにあっても、悲しみにあっても、命のある限りあなたを愛し、この誓いの言葉を守ってあなた共にあることを約束します」
マリーナが誓いの言葉を返してくれる。
それだけで、不安は薄れていき心が満たされて行くのがわかる。
これから沢山時間があるのだから、彼女がうざがるぐらいの愛を伝えていけばよい。
マリーナが左手を差し出してきて、彼女の薬指に指輪を嵌める。
そっと彼女の顔を覗き見ると、ベール越しの彼女の顔が微笑んでいるように見えた。
「マリーナ、これから思いっきり溺愛するから覚悟しておけよ」
俺の言葉にマリーナは俺の差し出した左手をそっと支えた。
「もう、5年間もうんざりするくらいユーリには愛されました。今までありがとうございます。愛しています、ユーリ」
俺の左手の薬指に指輪を嵌めながら、彼女が少し震えた声で囁く。
「では、誓いの口づけを」
神父の言葉に俺はそっとマリーナのベールを捲った。
先ほどの震えた声が泣いているように聞こえて不安だったが、俺の不安は彼女の満面の笑顔を見て吹き飛んだ。
ずっと見たかったマリーナの笑顔が見れた。
「もっと、その笑顔が見せてくれ。愛しているマリーナ」
俺はそっと目を瞑ったマリーナに唇を近づけた。
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