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「おいおい、いいかげんにしろよ、ここは職場だぞ」
「俺は会っているのかを聞いてるんだ!」
俊之は少し声のトーンを小さくしてから、再度板倉に詰め寄った。
「ハハッ! 会うも何も、雪子ちゃんには既にもう恋人がいるよ。それも超ハイスペックな男がなぁ」
板倉は先日雪子と手を繋いで歩いていた男を、
思い返しながら言った。
「雪子に男がいるのか?」
「お前何ムキになってるんだ? もうお前と雪子ちゃんは関係ないんだぞ」
「俺は、和真の父親だ!」
「そりゃそうだけど、雪子ちゃんに対してお前は何の権限も持っていないんだぞ。雪子ちゃんもやっと幸せを掴んだんだ。そっとしておいてやるのが、今お前が出来るせめてもの償いなんだからな!」
板倉は冷ややかな口調でそう言うと、その場を後にした。
その場に残された俊之は、
静かにテーブルの上をじっと見つめていた。
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