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ある夜の出来事
ある夜の出来事だった。
私は学習塾から家に帰る途中で、段差につまづき転倒してしまった。
鞄から勉強道具が飛び出し、道路に散乱する。
「大丈夫ですか?」
勉強道具を拾う私に、誰かが声をかけてきた。
『聞いたことがある声だ』
チラッと顔を見て、私はドキッとする。
『晃司君だ』
彼はノートを拾って、私に渡してくれる。
「ありがとうございます」
私はそう答えてノートを受け取り、その場から立ち去った。
恥ずかしかったけど、嬉しかった。
家に着いても、私のドキドキはとまらなかった。
彼が手に持ったノートを私が持っている。
『こんなことがあるのだろうか』
彼と接したあの時間は、私の大切な想い出となった。
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