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地球。
何年、何十年、何百年も前に生きてその足で歩いてきた世界。
彼らは、懐かしみ、涙し、語らい合う。
あの星がどういうところかは知らないけど、今、この日、この瞬間だけはあの青い星に思いを馳せる。
「今年もありがとう。ウサギさん」
ブライトさんが私を見て笑いかけてくる。
私たちの姿は、地球に住む"ウサギ"と呼ばれる生き物に似ているらしい。
尖った耳、クリッとした赤い目、白い体毛、小さな身体、どれだけ似てるか1度見て見たいものだ。
「実はここから地球を見るのはこれが最後なんです」
「と、いうことは転生の許可が降りたのですね」
ブライトさんは、頷く。
「500年振りの地球です」
「今度は、何に?」
「不幸なことにまた人間です」
「そうですか」
私は、これ以上何も言うことが出来なかった。
「今度は、地球から見上げますよ。この月を」
「また、お会い出来ることを楽しみにしてます」
「私は、忘れてるでしょうが是非、声をかけてください」
私は、余った団子を渡す。
私たちの住む月のような丸い団子を。
「良い人生を」
ブライトさんは、にっこりと微笑んで団子を受け取った。
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