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ストレイは上機嫌だった。
念願の正社員にもなれたし、ノーシュカからも元気を貰ったから。
もう何も怖くない!
「ただいま!」
ストレイはいつにもなく元気な声で辞令を交わした。
「元気じゃないの、何かいい事あったのかい?」
母親が聞く。
「僕ね、正社員になれたんだ!一人前になったんだよ!凄いでしょ!!」
とストレイは自慢する。
しかし母親は不満に満ちた表情でこう返した。
「は?何が一人前なもんか。一丁前に粋がってんじゃないよ」
「なんだよそれ!正社員になったんだからちょっと褒めてくれてもいいだろ!?」
ストレイは思わずムキになる。
「正社員になったんなら私がアンタの為に毎月入れてきた年金通帳これからは全部自分で入れな!そしてそして一人前てのは恋人作って結婚して世帯を持ってやっと一人前なんだ!アンタはどうだい!?30過ぎて正社員になったくらいで何自慢してるんだい?アタシはアンタのような息子を持って恥ずかしくて外に出られないよ!」
母親はストレイの期待を裏切りことごとく彼を罵倒する。
母親の罵倒を聞いているうちにストレイの表情は鬼のように険しくなっていき、しまいには何かが切れる音がした。
ーーー
カンカンカン、ウーウー。
消防車が走るサイレンがスイーツ城のすぐ隣で鳴り響く。
「どっかで火事があったですかぁ?」
「あ、あそこあそこ!すぐ近くだよ!」
とノーシュカ。
特にノーナは好奇心丸出しに声が爛々としていた。
「見に行ってみようよシュカシュカ先輩!」
「ちょっとちょっと!」
ノーナはシュカシュカを連れて大きな火事現場へ野次馬しに行く。
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