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室内にある大きなテーブルに、ニールが手早く食事を並べていく。
食事のメニューはパンとスープ。あとはサラダという比較的質素なものだ。デザートなどはない。
「ほら、こっちに来い」
ニールはシャノンにそう命令してくる。が、シャノンが動かないことに気が付いてか、シャノンの方に近づき――その身体を、何のためらいもなく横抱きにする。
「ひゃぁっ!」
驚いて、シャノンの口から可愛らしい悲鳴が零れた。
その所為でシャノンが顔を赤くしていれば、ニールが「へぇ」と声を上げたのがわかった。
……何とも、いたたまれない。
そのままニールはシャノンをテーブルの前にある椅子に腰かけさせると、自身も椅子に腰かける。
けれど、その場所はシャノンの真正面ではなく――隣。肩と肩が触れ合いそうなほど近い距離に、ニールの顔がある。
(……本当に、見れば見るほどそっくり)
ニールの顔を横目でちらりと見つめつつ、シャノンはそう考えていた。
だが、そんなシャノンの様子を気に留めることもなく、ニールは食事を始めた。
きれいな仕草で食事を摂る彼は、どうやら相当育ちが良いらしい。
「……ほら、お前も食べろ」
しばらくして、ニールが端的にそう命じてくる。しかし、シャノンはゆるゆると首を横に振った。
「食欲、ないわ」
ニールのことだ。ここに毒を仕込んでいる可能性は限りなく低い。たかが数時間の付き合いではあるものの、ニールが今、シャノンを毒殺することはないだろうと判断したのだ。
「だから、いらない」
ゆるゆると首を横に振ってそう告げれば、ニールは何を思ったのだろうか、シャノンの頬を手で挟んでくる。
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