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剣と剣がぶつかるような甲高い音があたりに響く。
平和だった町は炎に包まれ、一気に戦場と化した。
それを実感しつつ、シャノン・マレットはその大きな橙色の目に確かな闘志を宿しながら、戦う。
ここジェフリー王国で革命が起こって約二年。当初は圧倒的に優勢だった王国軍も徐々に士気が下がり始めたのか、最近では大々的に革命軍を始末しようとする動きが減った。
その理由をシャノンは知らない。だって、知る意味もないから。
シャノンは戦うだけだ。昔のようにドレスをまとうわけでもなく、宝石に目を輝かせるわけでもない。動きやすい戦闘服に身を包み、剣を持つ。令嬢時代だったら考えられなかった姿に、シャノンは苦笑を浮かべた。
(これも、全部フェリクス殿下の無念を晴らすため――……!)
シャノンの初恋相手であるフェリクス・ジェフリー。五年前に不可解な死を遂げた男。
彼の胸を晴らすために、シャノンは戦う。今日も、明日も――この戦いが、終幕を迎えるまで。
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