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身体を暴かれるのは、もう嫌だ。たとえ、初恋相手にそっくりな人だったとしても。
「いや、いやなのっ! いやぁあっ!」
ついには心が決壊した。
元々シャノンとてか弱い貴族の娘。最近では戦うことばかりだったが、こういう風に苦しめられるくらいならば――いっそ、一思いに殺してほしかった。
「こら、暴れるな。……大丈夫だから、な?」
シャノンの髪の毛を優しく撫でながら、ニールがそう声をかけてくれる。
涙が溜まった目で彼を見つめると――彼が、フェリクスに見えてしまう。
もしも、ここでシャノンを抱いてくれているのがフェリクスだったならば。……まだ、マシだったかもしれない。
「大丈夫だ。……もうすぐ、終わるから」
シャノンがそんな絵空事を考えていると、不意に手をぎゅっと握られた。そのまま指を絡められる。
「これしておいたら、あの男らも何も言わないから。……だから、我慢してくれ」
腰を動かしつつ、ニールはそう言う。その言葉の節々には隠し切れないほどの優しさがにじみ出ているようであり、シャノンの目がぱちぱちと瞬く。
「俺は、どうやってもお前に死んでほしくない。……だから、こうでもして生かしておきたい」
「……ど、う、いう」
ニールは一体何を言っているのだろうか?
どうして、彼はシャノンを生かしたいというのだろうか?
言葉の意味も、彼の真意も、何もわからない。
なのに、その考えも与えられる快楽によって流されていく。
その所為なのだろう。……意識が、何度も飛んでしまいそうになった。
「……ぁ、あっ」
気絶だけは、したくない。その一心で必死に意識を引き戻していくが、それもそろそろ限界が近そうだ。
「……シャノン」
意識が完全に飛んでしまう少し前に聞こえてきたのは――ニールの声。シャノンの名前を呼ぶ声だった。
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