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ゆっくりと重たい瞼を開く。
視界に映ったのは、見知らぬ天井。
それに驚きシャノンが身を起こせば、ここはどうやら寝台の上のようらしかった。
「……わた、し」
自身の手を見つめ、シャノンはそう呟く。
そうすれば、部屋の中にあるソファーの上にかかっている毛布が動く。……誰かが、いるらしい。
その人物はなんてことない風に起き上がり、目をこすりシャノンを見つめる。
彼を見た瞬間、シャノンには気絶する前の記憶がよみがえってきた。……そうだ。自分は王国軍に捕まって――。
(このニールという人に、純潔を散らされたんだわ……)
恐ろしくて、おぞましくて。シャノンはぎゅっと毛布を握る。
そんなシャノンを一瞥し、ニールは立ち上がる。彼が向かうのは、シャノンのすぐそば。
「……陛下からお達しだ。今後、お前の管理は俺がする」
「……え?」
「今後、お前をどう扱うかは俺に一任された」
つまり、シャノンの命が残るも散るも、ニールの気次第ということなのだ。
それを悟りつつ、シャノンはそっと目を伏せた。
(……手酷く、扱われるのよね)
捕虜なんてそんな存在だ。彼はシャノンを交渉材料に使うと言っていたので、殺しはしないだろう。が、命を取らない程度にいたぶる可能性は高い。
合わせ、慰み者にする可能性だって……。
「とりあえず、朝食を運ばせる。……ここで待ってろ」
シャノンの気持ちなど知りもしないのだろう。ニールはそれだけを呟くと、部屋を出て行ってしまった。
……今ならば、逃げられるかも。
一瞬そんな感情が湧き上がったが、自身の足首に枷がはめられていることに気が付いて、あきらめた。
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