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乱暴で、横暴な口調だった。
だけど、シャノンだって負けていられない。
「なによ! あなたに私の何がわかるって言うのよ……!」
「……はぁ?」
「このまま慰み者にされるくらいならば、私は衰弱死するほうがずっといいわ。……私には、心に決めた人がいるのよ!」
ニールの目をまっすぐに見て、そう伝える。……近くで見れば見るほど、彼の顔立ちはフェリクスにそっくりだ。
その真実が、心を乱す。
「……心に決めた奴、か」
「えぇ、もう亡くなっているけれど、私は彼以外に身体を許すつもりなんて、なかったのに……!」
いくらニールがフェリクスにそっくりだったからと言って、彼に身体を捧げるなんて言語道断だった。
そういう意味を込めて彼を見つめれば、彼の目はほんの少し揺れているらしく。
シャノンの心の中に、何とも言えない感情が湧き上がってくる。
「……そうかよ」
ニールは、シャノンの言葉を否定しなかった。ただ寂しそうにそう言うと、シャノンの頬に手を押し当ててくる。
「……じゃあ、別に無理強いはしない。……ただ、俺の名前はニールだ。今後、そう呼べ」
彼はそれだけを命じると、シャノンから離れていく。……意外過ぎる行動だった。
それからしばらくして、部屋の扉がノックされた。どうやら、食事が運ばれて来たらしい。
それを悟りつつ、シャノンはぎゅっと毛布を抱きしめる。ニールが食事を受け取っている間も、ただただ、毛布を抱きしめ続けた。
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