321人が本棚に入れています
本棚に追加
あれから五年が経った。
国内の情勢は大きく変化し、二年前にジョナスが革命を起こした。
民たちは自らの暮らしのために立ち上がり、王国軍と剣を持ってぶつかり合う。中には魔法で応戦するものもいる。
それほどまでに、ジェフリー王国は荒れた。
(でも、これもそれもフェリクス殿下の無念を晴らすため……!)
くじけそうになるたびに、シャノンは自分自身にそう言い聞かせて気持ちを奮い立たせた。
シャノンのことを考えてくれ、民のことを考えてくれた王子。彼が死んだのは――間違いなく、今の王家の所為なのだろう。
「シャノン。あんまり無茶をするとよくないよ。……しっかりと周囲を見るんだ」
そんなことを考えていると、不意に隣からそんな声が聞こえてくる。
だからこそ、シャノンはこくんと首を縦に振って彼の言葉に返事をした。
キース・ホフマン。彼は革命軍の一員であり、シャノンの幼馴染に当たる青年だ。彼も元は貴族であり、身内を理不尽に殺されたことにより王家を恨んでいる。彼は、シャノンにとって気の許せる大切な人だった。
「……わかっている。わかっている、けれど」
口からはそんな言葉が零れた。目の前にはたくさんの王国軍の兵士たち。彼らが未だに王国側につく理由はいまいちよく分からないが、彼らの中にも切羽詰まったような人がいるのもまた真実。もしかしたら、家族を人質に取られている者もいるのかもしれない。
そう思うと、尚更王家に怒りを抱いてしまう。
そのため、シャノンは自らが持つ剣に力を込めた。……絶対に、絶対に革命は成功させる。その強い意思を、剣に込める。
そして、シャノンが切りかかってきた兵士の一人の剣を弾き飛ばしたときだった。
最初のコメントを投稿しよう!