12人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
蘭と燐、蝶と竜胆
プロローグ
ある日、高校の教室で出会った二人の少女──…城ヶ崎 蘭と花宮 燐。蘭は明るく元気な性格で、燐は内向的で少し引っ込み思案な性格だった。しかし、二人の心には同じような孤独感が漂っていた。
蘭は幼い頃に両親を亡くし、孤児院で育った。
彼女はいつも笑顔を絶やさず、周りの人々を元気づける存在だったが、内心では自分自身の寂しさを抱えて生きてきた。
一方、燐は家族とは距離を置いて暮らしており、綺麗な紫の髪で容姿端麗、高嶺の花だったことから友人も少なかったため、いつも一人で過ごすことが多く。
燐は自分自身に自信を持てず、他人との関わりを避けるようになっていた。
そんなある日、蘭と燐は学校の図書室で偶然出会い、蘭は燐が一人で本を読んでいる姿に心を惹かれ、声をかけることにした。
「こんにちは、よければご一緒してもいいかしら?」
微笑みながら尋ねると、燐は戸惑いながらも少しだけ頷き。
──それからというもの、蘭と燐は毎日のように図書室で本を読みながら過ごすようになった。
二人はお互いに心を開き、少しずつ距離を縮めていき、蘭は燐の内面に秘められた優しさに触れ、燐は蘭の明るさと笑顔に癒されていた。
しかし、蘭には秘密があったのだ。
彼女は幼い頃に父親から虐待を受けており、今でもその心の傷は癒えていなかった。
彼女が時折見せる暗い表情や孤独感にはその秘密が隠されていたということ。
ある日、蘭の異変に気づいた燐は蘭を気遣い、悩みを打ち明けるよう促しました。すると、蘭は自分の過去について語り始めた。
「私の父親は厳しい人でした……いつも私を殴って、怒鳴り散らしていました」
と困ったように笑いながら語った蘭に、燐は少し考えた後、優しく肩を抱いた。
「辛かった、と思う。すごく……だから、もう一人で抱え込まないでほしい。辛いことは私にも共有してくれませんか?友達、だから」
「燐…っ…いいの…?…本当に、あなただけよ、そんなに優しい人間は……っ」
燐の言葉には感謝してもしきれないほど、愛に似た友情心を感じだ。
それからというもの、互いの痛みを理解し合い、支え合うようになった二人は次第に自分自身を愛せるようにまでなり、
その後、蘭と燐の絆は友情を超え──そんな二人が友達から恋仲になるまで、そう時間はかからなかった。
最初のコメントを投稿しよう!