敵はどっちだ

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敵はどっちだ

一麒(かずき)様を支えることによって権力を手に入れようと思ってるんじゃないだろうな?」 「なんだよそれ? 仮に手に入れたとして何に使うんだ?」 「それは、その……世界を破滅に向かわせるとか」 「そんなことして何が面白いの?」 「じゃ、じゃあ、なんでお前は一麒(かずき)様とまだ(つが)わないんだ!」  僕と一麒(かずき)(つが)ってないのは四神達にはバレバレだってわけかぁ。だってこちらにきてからやたらと眠いんだ。玄武には疲れてるからだと毎晩疲れを癒すハーブティーを飲ませてもらってる。 「な、なんでそんな事言われなきゃいけないのさ。まさか、一麒(かずき)ってそんなに力を消耗してるの?」 「それは……。お前には言うなって言われてたんだ」 「もう言ってるじゃん」 「かなり滅入ってらっしゃるのは確かだ」 「僕は本当に御霊なの? 一麒(かずき)は僕はまだ覚醒してないって言ってた」 「リンは一麒(かずき)様のことはどう思ってるんだ?」 「嫌じゃないよ。一緒にいて安心するし、ずっと傍にいたいような」 「好きなのか?」 「うん。たぶん」 「そうか。良かった。それなら添い寝するだけでも良いから傍にいてあげて欲しい」 「わ、わかった。善処する」 「それから、玄武(げんぶ)には気をつけろ」 「え? なんで?」 「もうリンも聞いてるだろうが、俺が連れてきた番候補は(つがい)じゃなかったんだ。そのせいで一麒(かずき)様のお心を傷つけてしまった。俺は見誤った。でもそれには何か力が働いていた気がするんだよ」 「まさか、それが玄武(げんぶ)だっていうの? 玄玄武(げんぶ)はそんなことしないよ!」 「俺にリンが何かを企んでるようだと言いに来たのは玄武だぜ」 「えっ? そんな。信じられないよ」 「ったく! 本当にお人よしだなあ。きっと玄武(げんぶ)は俺がまだ(つがい)候補を憎んでると思い込んでいて近づいてきたんだろう」 「白虎(びゃっこ)は僕を嫌ってるんじゃないの?」 「何度も言わせるなよ。嫌ってなんかない。リンからは一麒(かずき)様と同じ【仁の波動】が感じられる。後はきっと、自覚が足らないんじゃないか?」 「だって僕は(つがい)候補なだけだって」 「誰がそんなこと言ったんだ?」 「それは……玄武(げんぶ)が……」 「ちっ! リン。いいか。今夜からはもう玄武(げんぶ)が出した茶や食べ物を口にするんじゃねえ」   
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