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「おじいちゃん、今年はめっちゃキレイだねー」
昨年は生憎の曇り空で『中秋の名月』を眺められなかったが、今年は雲一つない晴天。
照明なんて必要がないくらい、辺りを明るく照らしている。
私は昇りきった月を眺めながら念願の『お月見バーガー』を頬張る。
うん、美味しい。
1階ではあるが駐車場に面しているベランダなので、私がひとり月見をしていても誰にも気に留められない。
子供達の騒ぐ声が遠くに聞こえるが、この辺りは『お月見泥棒』の風習はあるのだろうか。
毎年おばあちゃんがお菓子とお団子の入った袋を準備していたけど…ウチに来られても準備なんかしていないよ〜。
ポテトも平らげた私は、室外機の上に飾った月見団子に手を伸ばす。
―――あれ?1番上の団子がない。
運ぶ途中で落としたのかと思い、私は部屋の床を捜索するが見つからない。
ベランダかな?と懐中電灯を手にベランダに戻ると、何故か1番上の団子はあった。
あれ?さっきは確かに……。
私は首を傾げながら、1番上の団子を摘んでみた。
それは真っ白なダンゴムシのように丸まった……手のひらサイズの小ささで太めのじいさんだった。
しかも、この顔……。
「はぁっ!?お、おじいちゃん!?」
私に背中を摘まれたその小さなじいさんは7年前に亡くなった私のおじいちゃんそっくりで、照れ臭そうに右手を上げる。
「よう、真希。久しぶりだの」
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