第4話

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「あなた方には『冒険』が必要だと私は思います」  『冒険』……私の日常から一番遠い言葉だと思った。 「冒険?……」 「はい。毎日同じことの繰り返しでは、新しい発見などできません。音楽部も、そしてあなたも……限りない日常の繰り返しの中で、(すた)れていくばかりです」 「廃れていくんですか……私たち」 「はい。間違いなく廃れますね。物置の一番奥に捨てられたぬいぐるみのように」  何という比喩なのだろう。ピンと来ない。 「今、ピンと来ない……って考えましたよね?」  ちょっと待って。そういう先生の顔、イケメンに見えるんだけど、顔変できるのだろうか……。 「今、顔変できるのか……って考えましたよね?」  私は思わず、プッと吹き出してしまった。 .
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