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「どうかしたのですか?」
「いえ。先生には、私たちの未来が見えているのかな~と思いました」
「あなた達の未来? ……もちろん鮮明に見えていますよ。皆さんはインドで奇跡を起こします……」
「私たちが奇跡を起こすのですか?」
「はい。とんでもない奇跡をね」
私は、先生がハッタリをかけているのではないかと疑い、先生の顔をじっと見た。すると先生も私の目をじっと見つめ返してくる。
…… え? まさか先生、私のこと ……
先生は、フッっと笑い視線を外すと、窓の外を見て言った。
「野々目さん。今私が野々目さんのことを好きになったかもって思ったでしょ?」
図星だった。どうしてだか分からないけれど、私の胸がときめいている。
私が答えに詰まっていると、先生は窓の外から視線を私に戻す。ドキッとした。先生が口を開いた。
「私は、野々目さんのことを個人的に好きになることはないので、ご安心ください。私が好きなのは、音楽部が切り開く未来です……」
セリフは、わざとらしかったけれど、先生が言うと尤もらしく聞こえるのはなぜだろう。
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