4491人が本棚に入れています
本棚に追加
第5話
インドは黄色い砂の匂いがした。
深夜にインディラガンジー空港に到着すると、私たちは荷物を持ち、入国審査を受ける。日本人は他の国より審査が緩いようで、すぐに入国することができた。
空港の前でアニクが出迎えてくれた。彼は日焼けてしていて、黒く大きい瞳が透き通るように澄んで見えた。
「アニクさん、お久しぶり。元気ですか?」
古沢先生がそう声をかけると、彼は「元気です。来てくださってありがとうございます」と答えた。
しかし、私たち音楽部に再会を喜び合っている余裕はない。今日から2泊4日の演奏旅行。自由時間のない強行軍だ。
「はい、みんな。バスに乗って~」
アニクが皆にバスに乗るように促した。
インドでの通訳は、全てアニクがやってくれる。アニクは本当に心強い仲間だと思った。
.
最初のコメントを投稿しよう!