第5話

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第5話

 インドは黄色い砂の匂いがした。  深夜にインディラガンジー空港に到着すると、私たちは荷物を持ち、入国審査を受ける。日本人は他の国より審査が緩いようで、すぐに入国することができた。  空港の前でアニクが出迎えてくれた。彼は日焼けてしていて、黒く大きい瞳が透き通るように澄んで見えた。 「アニクさん、お久しぶり。元気ですか?」  古沢先生がそう声をかけると、彼は「元気です。来てくださってありがとうございます」と答えた。  しかし、私たち音楽部に再会を喜び合っている余裕はない。今日から2泊4日の演奏旅行。自由時間のない強行軍だ。 「はい、みんな。バスに乗って~」  アニクが皆にバスに乗るように促した。  インドでの通訳は、全てアニクがやってくれる。アニクは本当に心強い仲間だと思った。 .
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