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「《Good》よくできている」
芝崎課長に褒められて、うっとりとした顔をしている。見渡せばこの部署の全員がうっとりとした顔をして芝崎課長を見つめていた。それに応えるため、芝崎課長は順に部下たちのデスクを回る。
「《Good》前回より読みやすくなっているな」
褒められれば部下たちはみなSubspaceに入ったかのように頬を赤くし、うっとりと芝崎課長を見つめるのだ。
「ああ、ちゃんと休みなさい」
時折体をゆらゆらとさせる者がいると、すかさずクッションを取り出して姿勢を安定させる。それでも危ない者はお姫様抱っこをしって、休憩スペースのソファーに座らせた。一見、とてもおかしな状況なのだが、定時までに元の状態になっているし、仕事も終わっている。だから、会社も芝崎課長の方針に口をはさむことはなかった。むしろ、パートナーのいないSubたちがこぞって芝崎課長の部署に異動願いを出すほどだ。おまけに、会社見学に来た学生が、『職場で仕事しながらplayができる』なんてSNSで拡散したから、新規採用と中途採用にSab率が大幅にアップした。しかも、芝崎課長の指導方法をモデルケースとして指導を願う企業まで現れたものだから、会社は芝崎課長をここぞとばかりにもてはやしたのである。
「かちょぉ……」
頭がお花畑になってしまったのか、部下の一人がデスクに前のめりに倒れこんだ体勢で芝崎課長を舌ったらずに呼んだ。本来なら有り得ないことだが、この部署では許される行為だ。
「どうした。今日はよく頑張った。ゆっくり休みなさい《Good》」
そう言いながら給湯室で自ら部下の分の飲み物を入れ、おぼんに乗せて配っている。
「熱いから気をつけなさい」
必ず一言添えて渡していく。今日のお茶請けはカヌレだ。渡された部下たちはゆっくりとお茶を飲み、カヌレをかみしめるごとに徐々に通常に戻っていく。そうして仕事の仕上げをし、本日の当番が給湯室で洗い物をして帰っていくのだ。
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