シャーロット

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「っ、公爵閣下、よろしくお願いします。アベル陛下のご温情に感謝いたします。」  侯爵令嬢時代に何度も行い身体に染み付いているきれいなカーテシーを披露するとオーウェン公爵は、感心したように目を細めた。 「陛下が仰る通り本当に教育が必要ないようですね。」 「だから養女にはしてもらうが、シャーリーは今日から王宮に住まわせる。準備が整い次第、婚礼の儀を行うからな。」 「さすがにそれは無理だと…」 「訳の分からない女を宛てがわれるより、シャーリーと過ごす方が有意義だから、公爵が他の奴らを黙らせてくれ。」 「お、お待ちください。陛下っ。」  アベル陛下は私を横抱きするとスタスタ歩いき始める。  私たちは公爵や侍従たちの追いかけくる声を無視して部屋に入ると昨夜は話し込んでしまい出来なかった恋人同士のキスをした。 「これで前世になれなかった王妃になれるね。」  彼の言葉に私は笑顔で返した。 「あなたの奥さんになれる方が何百倍も価値があることだわ。あなたと子どもと過ごせたら最高ね。」  数年後、庭を走り回る長男アランと次男シリルを眺めながら私とアベル陛下は仲良く寄り添い、幸せを感じていた。  完  
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