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父の苦悩、もしかして愚痴?
私、オーウェン侯爵ウィリアムの最近の悩みは、急に大人びた娘のキャロラインのことだ。
愛する妻ナタリーとの間にやっとできた一人娘でまだ6歳。眼に入れても痛くない、かわいいかわいいかわいい娘だ。
淡い金髪も綺麗な碧の瞳も妻にそっくりで、親戚の紹介で知り合った妻も幼い頃はきっとこんなに可愛らしかったのだろう。その頃の妻に出会いたかった…
げふん。げふん。『妻は愛らしいがキャロラインも負けずにかわいい。』と思う。周りから親バカと言われ、屋敷では使用人たちに生暖かい眼で見られている私だが、最近キャロラインがおかしいと気になっている。
突然、朝食のときに「お父様。私、ずーっとお父様と一緒にいたいからお嫁に行かずにこの家を継ぎたいの。」と言ってくれた。
それは、ずっとお父様が1番でお父様と結婚したいと言う意味かと嬉しくなったが、私にはナタリーがいる。うれしいが、すごーくうれしいがキャロラインにもナタリーにとっての私が必要だと我慢して伝えた。
「そうか。嬉しいよ。でもキャルの王子様が見つかったら、寂しいけれど嫁に行ってもいいからな。」
するとキャロラインは、私のことは置いといてくらい(気のせいだと思いたいが)の勢いで話を続けた。
「では、私がこの家にとっても、私にとっても一番いい相手を見つけて来るまで、よそから婚約のお話が来ても受けないでね。」
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