210人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
我がオーウェン侯爵家はフィライト王国の建国以来の重臣である。両親は家格の釣り合う同士として親に決められた縁組だったもののお父様がお母様に惚れ込み、仲睦まじい夫婦になっている。
そんなふたりに大切にされて私はオーウェン侯爵令嬢として育ってきた。
ただお母様があまり身体が丈夫じゃないため子どもは私しかおらず、私が第二王子フィリップ殿下の婚約者と決定したことから遠縁のグレアムを将来のオーウェン侯爵とするために養子に迎えている。
グレアムと私は同じ屋敷にいながら、あまり交流することもなく来てしまった。それは私が王族の婚約者として王宮で教育を受けている時間が長かった事とグレアムが王立学院の寮に入って長期休みもあまり帰省しなかった事もあるが、たぶん性格的に剃りが合わなかったんだと思う。
だからお互い必要以上の接点を持つ気がないまま来てしまった。
せっかくの夜会も最近はフィリップ殿下のエスコートも無く、お父様や義弟のエスコートで出席だけして体面を保っているのか、晒し者になっているのか分からない状況になっていた。
今日も渋々エスコートしてくれたのは義弟のグレアムだ。私よりエスコートしたい相手がいるのか終始不機嫌で、こんなことならひとりで来れば良かったと後悔している。
だってフィリップ殿下がエスコートしない時点で、他の貴族から同情や蔑みの目で見られるならひとりで来たって、そう変わらなかったと思うから。
最初のコメントを投稿しよう!