1st

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 夜会も終わりに近づいた頃、フィリップ殿下とグレアムを含む側近達がそれまでずっと壁の花と放って置かれた私のところにやって来た。  フィリップ殿下の横には、最近彼がお気に入りのハワード男爵令嬢メアリーが寄り添っている。いつものように最後まで放っておいてくれたら、そのまま帰るつもりだったのに、向こうから近寄ってくるので訳がわからなかった。 「キャロライン!貴様を反逆罪で逮捕する。」  ?頭の中に疑問符が浮かぶ。  いままで私も淑女のたしなみとしてロマンス小説など読んで来たけれど…たしなみというより積極的だから趣味といった方が合っているかしら?  違うわ。今はそこじゃない。こういうシチュエーションの時は、反逆罪じゃなくて自分のお気に入りの彼女を虐めたとか真実の愛とか言うのが定番なのよ。  フィリップ殿下は言葉を知らないのかしら?それとも殿下の想い人を蔑ろにすると婚約者の私が反逆罪になるのかしら?殿下を婚約者として尊重はするけれど、愛していない私が嫉妬に駆られ、いじめるはずなんかないという大前提はどこ行った?  そう。私は別に殿下を愛してはいない。高位貴族に生まれた以上、親の決めた縁組に従っただけだ。こんなわがままな殿下を支えていくのが、私の人生(仕事)と決めて頑張っていたのだ。  そんなことを考えている間に警備の騎士達に取り囲まれていた。
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