1st

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「キャロライン、貴様は私の婚約者という立場を利用し、敵国であるボルツ帝国と通じて機密情報を流していたな。証拠は押さえてある。言い逃れは出来ないぞ。」  普段はただのわがまま王子なのに、できる雰囲気を撒き散らしているのを見ていると少しは成長したのかしらと少し親目線で見てしまう。   「全く覚えないのですが。」 「嘘をつくな。お前の父は、お前のせいで侯爵位をグレアムに譲って領地で謹慎しお前と縁を切ると言っている。誰も助けてくれないぞ。諦めて認めてしまえ!」  もっともらしく言っているが、私を大事にしてくれているお父様がそんな事を言うはずがない。義弟のグレアムは図々しくフィリップ殿下の後ろで頷いている。  お父様は、現在領地であった災害の対策のため馬車で最低5日はかかる領地に行って対応しているはずだ。いないタイミングではめられたとしか思えない。   「キャロラインをひっ捕らえよ。」 フィリップ殿下の命令で私は騎士たちに捕らえられたのだった。
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