シャーロット

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 私は、ラルゴ…いやエルブランシュ王国…白い羽根という名の国の国王アベル陛下の手を握った。 「ラ…陛下。」 「ラルゴでいいよ。」 「そうもいかないでしょ。今は私はシャーロット、あなたはアベル陛下なんだから。」 「君だけが呼ぶ愛称だって言えば、皆納得するよ。君はキャリィがいい?それともシャーリー?」 「私はあなたともう一度一緒の時間を過ごしたいけど、悪魔と死に戻りのふたりでやり直しをやりたいわけじゃないの。だから…アベル陛下に見初められた村娘のシャーロットとして、あなたの側に居させてください。」 「わかった。これからはシャーリーって呼ぶよ。それと君が王妃として誰からも文句を言われないように公爵家の養女となって欲しい。君は王妃になるに相応しい教養はあるけど、今は村娘だから。」  そう言って紹介された、アベルがエルブランシュを建国する際に協力したと言うロマンスグレーのおじさま貴族は、懐かしい人の面影を残していた。 「私はリチャード・オーウェンと申します。フィライト王国から独立する時に陛下の手助けをした縁で公爵に取り立てていただいております。陛下のお気に入りと言うあなたの養父になれてうれしいです。」 「グレアムの孫だよ。」  アベル陛下が私にだけ聞こえるように教えてくれた。
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