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そしていま、なんとか王都に戻って来たお父様からの『助けるために手を尽くしている。愛している。』と言う手紙だけが心の拠り所だ。
でも多分もうお父様は、間に合わないだろう。今日はいままで具のないスープだけだった朝食がなかったし、腰まで伸ばしていた長かった髪も頸が見えるほどざっくりと短く切られた。
外に出されているということは処刑を執行するつもりなんだろう。裁判もなく公開処刑だなんて、随分と嫌われたものだ。
処刑はギロチンにより行われるらしい。周りには野次馬とともにフィリップ殿下や義弟たちが見ていた。
見上げた空には雲ひとつなく白い鳥が一羽飛んでいる。『綺麗』と同時に『羨ましい』と思った。私も鳥なら大空を飛んで好きなところに行けるのに…
身体を固定されて、刃が落とされる。
私の意識はそこで途切れた。
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