19人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫、どうせ今日は内勤だから。それにやっぱり、今は1人で作業しない方がいいわ。もし貧血起こして倒れても、誰も気づいてくれないかも知れないでしょ」
「…そうだね。午前中は中々作業が進まなかったから、ソフィーがいてくれると助かるな」
イリスが言うと、ソフィーも微笑んで。
「力を合わせて、今日中に終わらせちゃお。…もし邪魔が入ったら、私が締め上げて追い払うから」
そう言って、イリスの向こうに座るアークを、ちらりと見やる。
「…分かった。よろしく頼むよ」
アークが頷き、ソフィーも満足げに笑みを深める。
その正面ではジルとカイが、やや青ざめた顔で苦笑しながら、『どうか平穏な午後が過ごせますように』、と女神に祈るのだった。
☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩
「はぁ、色々あったけど、保管庫が片付いて良かった!」
夜も更けた病室のベッドの上に腰掛けながら、寝間着姿のイリスが達成感に満ちた笑顔を浮かべる。
「前とは見違えるように綺麗になってたな。助かったよ」
そしてその傍らには何故か、仕事を終えたアークの姿。
「…ねぇ、アーク。宿舎で休まなくていいの?明日も仕事なのに」
「ああ」
イリスは心配そうにアークを見やるが、アークは何でもないように頷く。
昼間のソフィーの叱責が効いたのか、保管庫に詰めかけた騎士たちの大半は、反省して仕事に戻ったらしい。
しかし、中にはそれでも懲りずに戻って来る不届き者もいたようで、もれなくソフィーに撃退され、保管庫から放り出されたとのこと。
さらに厄介なことに、イリスがちょっと保管庫から出て来たところを捕まえて、しつこく話しかけていた者もいたとか。
そんな話を聞かされたら、アークとしては不安で休息どころではない。もし、イリスが寝ている間に、部屋に忍び込んでくるような輩がいたら…
「イリスが退院するまで、夜はここで過ごすよ。見張っておかないと、あいつら油断も隙も無いからな…」
「でも、それじゃアークが休めないよ…」
そう言ってイリスが俯くと、アークもイリスと並んでベッドに腰掛けた。
「騎士にとって、寝ずの番なんて日常茶飯事だ。心配しないで、ゆっくり休んでていいぞ」
「…うん」
イリスはまだ浮かない表情のまま、窓の外の星空を見つめている。そんな様子を横目で見やり、アークは。
最初のコメントを投稿しよう!