19人が本棚に入れています
本棚に追加
序章 約束
夕暮れ。茜差す陽光が、幼い少女と少年の影を斜に長く伸ばしている。
白亜の石でできた、小さな墓石の前にしゃがみ込む少女に、傍らに立つ少年が呟いた。
「…俺が、イリスを守ってやる」
イリスと呼ばれた少女は、泣き腫らした瞳で少年を見上げる。
「俺がもっともっと強くなって、イリスを守る。大人になっても、ずっとだ。だからもう泣くな」
少年が、イリスに手を差し伸べた。
「ほら、一緒に帰ろう。」
「…うん」
イリスもそっと手を伸ばし、少年の手を取って立ち上がる。
それから2人は、暮れ行く景色の中、しっかりと手を繋いで歩き始めたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!