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8. 永遠の命
「人魚の肉のことはお詳しいようですが、人魚の血にも同じような効果があるのをご存じですか?」
人魚の肉を食べて不老不死になるのなら、人魚の血を飲んでも同じだろう。
「考えたこともなかったが、そうだろうね」
「ではお客様が先ほど飲まれたブラッディ・マリーに人魚の血が入っていたとしたら?」
「えっ?」
「おめでとうございます。あなたも不老不死を手に入れられたのです。永遠の命を得て、奥様の元に行くことは叶わなくなりました」
ママはそう言って微笑む。その微笑みは氷のように冷たかった。
「ど、どうしてそんなこと、私が何をしたというのだ」
私は飲んだものを吐き出そうとしたが、既に胃の中に落ち着いていて手遅れだった。
「あなたに、同じ苦しみを味わっていただきたくて」
ママがそう言って後ろを見ると、奥から先ほど人魚の肉を買って出ていったはずの若者が顔を見せた。
「ど、どうして?」
「この子は私の孫で、演劇学校で俳優を目指しているのです。なかなかの演技だったでしょう」
ママは笑う。
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