本物

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「……人間の娘か」  ベルナール・マルブランクは百合をちらりと見る。 「ヴィルジールさん?」 「私の後ろに隠れていてくれ」 「え?」 「彼は血を吸うヴァンパイアの末裔だ」 「え……?」  一瞬血の気が引き背筋が凍りついた。 「ヴィルジールの花嫁か?」 「そうだ!」 「安心しろ。お前の花嫁に手出しはしない……しかし、珍しいな。今まで花嫁など見向きもしなかったものを。どういう風の吹き回しだ?」  大きな背中に守られながら百合はこっそり様子を伺う。かすかにヴィルジールの拳に力が加わった。 「お前には関係ない!」 「そう言われると興味がわいてくる」  ベルナール・マルブランクは蛇のような獲物を見る目付きで百合をとらえる。視線がぶつかってしまい、百合は思わずヴィルジールの背中の服をギュッと掴み、少しでも見えないように隠れた。 「百合?」 「隠れなくても何もしない」 「信用出来ない。お前達一族は少ないとは言え血を吸うだろう?!」 「お前だって同じヴァンパイアではないか。今でこそ血は吸わないが」 「それは……」
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