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「百合様。そのロザリオの秘密をお話しましょう」
執事は静かに語り始める。
「秘密?」
「ええ。百合様のそのロザリオは購入されたのですか?」
「いいえ。これは家の家系に先祖代々伝わるロザリオで……」
「そのロザリオについてご両親から何か聞いていませんか?」
「何も……」
「なるほど……ヴァンパイアの世界では人間の花嫁が選ばれます。それは誰でも良い訳ではありません。そのヴァンパイアにとって相性の良い相手が選ばれるのです。そこでそのロザリオです。真ん中にある赤い石があるでしょう?」
「はい」
百合はロザリオに付いている赤い石を見る。
「その石が光る相手が花嫁なのです」
「花嫁になる相手はあまり現れないんですか?」
「そうですね……良くて百年に一度。長くて数百年に一度現れるかどうかという所です。百合様の家にあったと言うことは、ご先祖様にヴァンパイアに縁があったお方がいたようですね」
「家の先祖に……? 前に一度いたという人が初めてだったんですか?」
「ええ。彼女は他のヴァンパイアにも相性が良かったのです。ヴィルジール様は愛を知りません。ですが、百合様に出会われて変わり始めています。百合様。ヴィルジール様のことをお嫌いですか?」
「……いいえ。確かに最初は嫌でした。でも、一緒に過ごしてまだまもないですけど、だんだんヴィルさんのことが分かって来ました。優しくて良いヴァンパイアだと思います」
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