ヴァンパイア

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ヴァンパイア

「あなたは……誰ですか?」  少女は棺に眠っていた彼にたずねる。 「ああ……そうだな。自己紹介をしていかったな。私はこの館の(あるじ)でヴァンパイア。ヴィルジール・ジョアン、2400歳だ」    見つめているとあまりの美しさにくらくらしてしまいそうになり、思わず目をそらす。 「ヴァンパイアなんて……そんな! 本当にいるなんて……大体、何で私が花嫁なんですか?」 「それは、その君が首にかけているロザリオに理由がある」  彼は少女のロザリオに視線を向ける。 「このロザリオが?」 「そうだ。そのロザリオは花嫁の証」 「でも、私は……」  少女は混乱した頭で考える。 「お館様。そろそろサプリメントのお時間です」  突然黒いスーツを来た執事のような年配の男性が現れる。 「ああ、そうか」 「あの、私! 好きな人がいるので、ごめんなさい! 失礼します!」 「あ。待ってくれ」  後ろから呼び止める声が聞こえるものの、状況に付いて行けず、少女は家まで走って行った。  帰りは何故かスムーズに家へたどり着き、走って3分位の距離だった。  夕食を終え2階にある自分の部屋でくつろいでいると、窓の外に影が見えた。 「何? 誰?」  少女は恐る恐る窓へ近付いていく。
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