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部長とヴィルジール
「部長。どうして?」
「クラスの子に聞いたんだよ。体調どう?」
「朝よりは良くなりました」
「そう。良かった。今さ、先生いないんだ」
「はい?」
部長は何故か百合の手を握る。
「部長?」
「まだあのヴァンパイアと会ってるの?」
「え?」
思わずドキリとする。
「進藤さんをヴァンパイアに渡したくない」
部長は百合を抱きすくめた。
「部長? あの……」
「僕は進藤さんが好きなんだ」
――え?
「部長……あ、あの。私、今日は帰ります!」
部長の手から逃れるように百合は出ていく。
「進藤さん!」
保健室から飛び出し、百合は戸惑いながら先生に早退することを告げた。
家へ向かいながら百合は大きなため息をついていた。
――まさか、部長が私を好きなんて……。前なら手放しで嬉しかったのに。なんでだろう、私。ヴィルさんの存在がどんどん大きくなって来てる。
百合はぼんやりしながら歩いていると、ヴィルジールの家へ来ていた。
――あ。
立ち尽くしていると中からヴィルジールが出て来た。
「……百合? どうした? こんな時間に」
「ヴィルさん……」
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