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家系図
百合とヴィルジールは館へ戻った。ジョアン家にある羊皮紙の家系図をヴィルジールは持って来た。
「ごめんなさい、ヴィルさん。許しをもらえなくて……」
肩を落とす百合の肩を優しく引き寄せる。
「必ず説得してみせる。だから、そんな顔をするな」
ヴィルジールは穏やかな声で百合を励ます。
――辛いのはヴィルさんの方なのに……。
「とりあえずこれを見よう」
ヴィルジールは家系図を広げた。そこにはいつ人間の娘と結婚したか記されていた。
「え? まさか……」
そこに書かれていたのは父と母の名前だった。百合からさかのぼり両親を過ぎ更に祖父母、曽祖父母を過ぎ曾祖父母の母親がヴァンパイアの男性と結婚していた。先祖がヴァンパイアだった。
「ジャン・ラヴァンか」
「知ってるんですか?」
「ああ。彼は人間の娘に恋をしたらしい」
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